日本栄養・食糧学会誌
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ラット小腸絨毛-陰窩軸に沿った二糖類水解酵素活性の日内変動
山田 和彦安部 真佐子細谷 憲政
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1985 年 38 巻 1 号 p. 51-56

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抄録
空腹時 (明時) ならびに摂食時 (暗時) のラット小腸粘膜二糖類水解酵素活性の日内変動について, 小腸絨毛の陰窩部から絨毛先端部にかけて部位別に観察した。
1) 小腸粘膜湿性重量, タンパク質量, DNA量は, 空腹時ならびに摂食時に差はみられなかった。 スクラーゼ, イソマルターゼ, ラクターゼ活性は, いずれも空腹時に比較して摂食時に著明に増大した。 また, スクラーゼ, イソマルターゼ複合体の酵素タンパク質量は, 酵素活性に並行して, 空腹時に比較して摂食時に著明に増大した。
2) 空腸陰窩部から絨毛先端部への絨毛 - 陰窩軸に沿った二糖類水解酵素の活性は, 空腹時ならびに摂食時いずれも陰窩において低く, 絨毛基部から中部にかけて増大し, 先端部においては若干減少を示した。 対応する絨毛部位について空腹時と摂食時を比較した場合には, スクラーゼならびにイソマルターゼ活性は絨毛基部から中部にかけて大きく変動し, また, ラクターゼ活性は, 絨毛先端部においても大きく変動した。
以上の結果, 二糖類水解酵素活性は小腸絨毛全体にわたり, 空腹時に低く摂食時に高い日内変動をすることが示された。
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