抄録
米飼料にコール酸またはコレステロールとコール酸を負荷し, さらにスレオニンを添加してラットの成長, 血漿遊離アミノ酸, 血漿と肝臓のコレステロール濃度への影響をDonryu系ラットとSprague-Dawley系ラットを用いて検討した。
1) コール酸単独またはコレステロールとコール酸負荷米飼料摂取で, D系ラットの成長は阻害され体重は減少したが, Sprague-Dawley系ラットの体重は増加した。
2) コール酸単独, またはコレステロールとコール酸負荷米飼料摂取で生ずる成長阻害はスレオニン添加で部分的に軽減された。
3) 米飼料へのコール酸添加でDonryu系ラットの血漿中スレオニン濃度は顕著に低下したが, Sprague-Dawley系ラットでは変動はなかった。
4) コール酸負荷米飼料へのスレオニン添加で, 血漿コレステロール濃度はDonryu系ラットでは上昇したが, Sprague-Dawley系ラットでは変動がなかった。
5) Donryu系ラット, Sprague-Dawley系ラットともコレステロールとコール酸負荷米飼料へのスレオニン添加で, 血漿と肝臓のコレステロール濃度は上昇した。とくにDonryu系ラットの血漿コレステロール濃度の上昇は顕著であった。
6) コレステロールとコール酸負荷米飼料へのセリンやグリシン添加で, Donryu系ラットの成長や血漿コレステロールへの影響はないが, 血漿HDL-コレステロール濃度は上昇した。