日本小児アレルギー学会誌
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アレルギー児および非アレルギー児 (健常児) のゼラチン特異IgE抗体
柏木 保代高見 剛小西 佐知子河島 尚志武隈 孝治星加 明徳中山 哲夫
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1998 年 12 巻 3 号 p. 288-292

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抄録
生ワクチン接種後のアレルギー反応がゼラチンに対するアレルギーであることがわかり, 近年問題となっている. 今回, 我々はアレルギー患児のゼラチンに対する感作状況と全体としての健康人のゼラチンアレルギーの頻度を知るために, ゼラチン特異IgE抗体を測定した.
ゼラチンに対する特異的IgE抗体はアレルギー患児で219例中5例 (2.3%) に陽性で, 健常児 (0-15歳代) では551例中で1例 (0.18%) に陽性であり, アレルギー患児において有意に陽性率が高かった. 陽性児の内訳は重症アトピー性皮膚炎3例, 喘息患児2例であった. ゼラチンに対する特異的IgE抗体陽性児の5例はいずれもゼラチンを含んだワクチン接種後に副反応を認めた事はなく, ゼラチンを含む食物に対しても臨床的にアレルギー症状はなかった. また, 健常児296例で麻疹ワクチン接種前後にペア血清でゼラチン特異的IgE抗体を検索したが, 抗体が産生されたものはいなかった.
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