小児歯科学雑誌
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IncompleteE.E.C.syndromeの歯科治療経験
高梨 登高橋 勉瀬戸 孝子小倉 孝夫前田 隆秀深田 英朗
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1983 年 21 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

Incomplete E.E.C. syndromeは,E.E.C. syndromeの3主徴である欠指症,外胚葉異形成,口唇口蓋裂の内の1つ,または1主徴の一部を欠く症例であり,その歯科的報告も少ない。
我々は,右側口唇口蓋裂,拇指多指症,両側涙嚢炎を呈し,臨床所見よりincomplete E.E.C. syndromeと診断された症例において,歯科領域に現われた症状の観察並びに分析を行い,全身麻酔による歯科集中治療を施し,経過観察を行った結果,次のような結論を得た。
1.永久歯では〓〓〓の先天的欠如が認められた。
2.頭部X線規格写真の分析を行った結果,上顎骨の劣成長が顕著に認められるが,下顎の成長は正常範囲内であった。
3.歯冠の形態においては,ほとんどの歯牙が重症齲蝕に罹患しているため,十分な判断が困難であったが,わずかに〓〓〓の歯冠形態から矮少の傾向がうかがえる。
4.齲蝕の処置を行った後,咀嚼機能および審美性の回復を求めて,上下顎に小児義歯を装置したところ,咀嚼,発音,審美心理面に著しい改善を示している。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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