小児歯科学雑誌
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乳歯列と永久歯列の関連性について
(第三報)上顎歯槽基底について
浜地 宏哉川俣 純子辻 裕子溝呂木 英二上保 一之岩渕 法一三浦 みつ子萩原 洋子関本 恒夫坂井 正彦
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キーワード: 歯槽基底, 乳歯列, 不正咬合
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1988 年 26 巻 1 号 p. 154-162

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抄録
関本は正常咬合の乳歯列が永久歯列へ推移した時に不正咬合となったものについて,フーリエ解析を用いて検討を行い,特に上顎歯槽基底弓の形態において違いがあることを報告している.そこで本研究では特に上顎歯槽基底弓について,正常咬合の乳歯列が正常咬合の永久歯列へ推移したものと,不正咬合の永久歯列へ推移したものの長径,幅径の経年的な変化について模型計測により比較を行った.
資料は正常咬合乳歯列が,正常咬合の永久歯列に推移した16症例と,不正咬合の永久歯列に推移した8症例の経年歯列石膏模型を用いた.その結果,以下の結論を得た.
1.乳歯列前期,後期における正常咬合群と不正咬合群の比較では,乳歯列後期の乳犬歯間幅径の大きさで不正咬合群が小さく,明らかな違いがみられた.
2.乳歯列前期から後期にかけての変化は乳犬歯間歯槽基底幅径で正常咬合群でのみ有意に増加していた.
3.個々の症例の推移では,不正咬合に推移した症例は正常咬合に推移した症例に比べ,乳犬歯間歯槽基底幅径の増加量が明らかに少なかった.
4.乳犬歯間歯槽基底輻径の発育は正常な永久歯列へ推移する大きな因子となっていると思われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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