抄録
Alagille症候群は肝内胆管形成不全に加え特異的顔貌,肺動脈狭窄を主体とする心臓血管系の異常,脊椎奇形,成長発育遅延,知能発達遅延,性腺発育遅延などを有する疾患である.
今回,著者らはAlagille症候群と診断された12歳女児の歯科的診査を行った結果,以下のような所見を得た.
1)患児は本症候群の主症状・徴候を満たしていた.
2)初診時,永久歯24歯中20歯にわたる広範囲の齲蝕が認められた.
3)上下顎とも顎は狭窄し,セファロ分析結果から上下顎ともに劣成長と診断し,また,軽度の骨格性下顎前突の傾向も認められた.
4)歯には黄褐色の色調変化が認められた.