小児歯科学雑誌
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26 巻 , 2 号
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  • 守口 修
    1988 年 26 巻 2 号 p. 257-281
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の歯冠豊隆の程度,位置を計測し,歯肉との関連性を数量的に表わした.資料は3,4歳児の乳歯列模型を用いて,上下顎乳切歯227歯を計測した.
    基準平面としては下顎の咬合平面を用い,模型上に印記した5つの計測部位(近心隅角部,近心部,中央,遠心部,遠心隅角部)の唇側歯冠および歯肉形態を形状測定機を用いて,20倍にトレースした.そして両者の関連性を食片流路の点から計測し,検討した.なお,歯冠ならびに歯肉最大豊隆部は,咬合平面に垂線を下ろし,これを基準軸として,この軸に交わる点を最突出点とした.
    結果:歯冠・歯肉最大豊隆間距離,歯頸部・歯冠最大豊隆間距離,添窩量より,不潔域の大きさは,歯種別では,上顎乳中切歯が最も広かった.部位別では,近心部が最も狭く,遠心隅角部が最も広く,不潔域の広がりは上顎では歯冠側に,下顎では歯肉側により広く存在していた.歯冠最大豊隆接線角度は,乳中切歯の方が乳側切歯よりも大きい角度を示したが,その要因として上顎では歯冠軸の唇舌的傾斜度,下顎では唇面の豊隆の違いが考えられた.歯肉最大豊隆接線角度は歯種および部位間に大きな差はみられなかった.歯冠・歯肉最大豊隆結合線角度ならびに歯冠・歯肉最大豊隆接線角度差では,上顎両乳切歯は下顎両乳切歯に比べて大きく,とくに上顎乳中切歯で著しかった.さらに上顎乳中切歯において,遠心隅角部の歯冠および歯肉形態の関係ならびに,中央付近での歯冠から歯肉への移行部の大きな段差と尖状を呈している添窩の形態は,齲蝕や歯肉炎を引き起こす誘因の一つと考えられた.永久歯と乳歯を比較すると,とくに添窩量が乳歯は永久歯の3倍であった.歯冠形態と歯肉形態とは密接な関連性が認められ,添窩量は,歯冠・歯肉最大豊隆間距離,歯頸部・歯冠最大豊隆間距離歯冠・歯肉最大豊隆結合線角度,歯冠軸と相関性があり,とくに上下顎の近遠心隅角部で高い相関性が認められた.
  • 大庭 優子, 野中 歩, 竹辺 千恵美, 堀内 信子, 武田 康男
    1988 年 26 巻 2 号 p. 282-285
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    肢体不自由児の口腔刷掃には,本人の自発性が大きく関与しているといわれている.我々は,障害児教育で使用される進歩制度方式を用い,肢体不自由児に自立指導を行った.その結果から,自発性と口腔刷掃との関係及び本方式の口腔刷掃へ及ぼす効果について検討した.
    5~20歳の50名の肢体不自由児を対象に食事自立の有無で自立刷掃群(26名)と介助群(24名)に分け,3カ月指導した.推歩制度の強化法として公表と報償を用い,指導効果の判定の為に,指導前後にPIとGIを検査した.その結果,次の結論が得られた.
    (1)自立群の平均PIは統計学的に有意に改善し(P<0.01),社会的強化の方法が肢体不自由児集団の指導に有効であることを証明している.
    (2) 脳性麻痺の病型と平均PIの変化との間には関連性は認められない.
    (3)指導後PIとIQ,SQとの間には相関が認められる(r<0.05).とくに社会適応力の低い者ほどPIが悪化する傾向を示している.
  • 清水 良昭
    1988 年 26 巻 2 号 p. 286-305
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Down症候群の顔貌の特徴を数量的に捉え明確にすることを目的に,Down症候群者,健常者男女各15名の顔貌について,モアレトポグラフィー法を導入し三次元的解析を行った.Down症候群者の全体像を捉えることから表面積,体積を算出し,中顔面についてきらに詳細に検計した.また, 顔貌の特徴のパターン化を行い,Indexを考案して次の知見を得た.
    1)表面積,体積を算出した結果,Down症候群者の顔貌の特徴は中顔面にあり,中顔面は劣成長で起伏の少ない平坦な顔貌を示した.
    2)内眼角間距離は,健常者平均35.03mm,Down症候群者平均33.82mmを示し,Down症候群者に両眼隔離は認められなかった.また,MDBI値からDown症候群者の見かけ上の両眼隔離は鼻の長さが大きな要因であった.
    3)Down症候群者の鼻は発育不全を示し,大きさはMDNI値から健常者の約75%であった.
    4)Down症候群者の上顎骨相当部は前方,下方共に劣成長を示し,成長量はMDMI値から健常者の約80%であった.
    5)上斜眼裂の割合は,健常者平均6.67%,Down症候群者平均30.00%を示した.
    6)内眼角贅皮の割合は,健常者平均30.00%,Down症候群者平均70.00%を示した.
  • 細矢 由美子, 後藤 譲治
    1988 年 26 巻 2 号 p. 306-316
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    各種清掃研磨法による前処置を行った乳歯平滑面に対し,40%正燐酸による1分間のエッチングを行った.そして,歯面清掃研磨法が,乳歯平滑面エナメル質に対するエッチング効果に及ぼす影響について,SEMで観察し,下記の結論を得た.
    1.同じ歯面清掃研磨法を用いた場合でも,歯牙によりエッチング効果に差がみられ,又,エッチング形態やエッチングの程度が異なっていた.
    2.エッチング形態としては,エッチング後においても,小柱構造が不明瞭な像と,小柱周囲が強く溶解された像が多く認められた.
    3.歯面の清掃研磨効果が低い清掃研磨法を使用すると,エッチング後においても,有機性被膜やcuticleなどの沈着物がエッチング面に残存する可能性が高かった.
    4.エッチング効果は,清掃研磨法による差よりも,歯牙の個体差に影響されている可能性が観察された.
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1988 年 26 巻 2 号 p. 317-327
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    エッチング時間が,非切削乳歯平滑面エナメル質に対するエッチング効果に及ぼす影響について観察する事を目的に本研究を行った.資料としては,抜去もしくは脱落したヒト健全乳前歯82歯の唇面を用い,4種類の歯面清掃研磨法により前処置を行った.エッチング材は,40%正燐酸ゼリーを使用し,酸処理時間は10秒,30秒並びに60秒とし,水洗は30秒問行った.
    エッチング面をSEMで観察した結果,下記の結論を得た.
    1)エッチング時間が短くなると,エッチング後においても,小柱構造が認められない症例が増加した.
    2)小柱構造が全く認められなかった症例は,エッチング時間が60秒の場合では,24例中2例(8.3%),30秒の場合では,30例中5例(16.7%)であるのに対し,10秒の場合では,28例中8例(38.6%)であった.
    3)エッチング型については,エッチング時間が短くなるにつれ,エナメル小柱の周囲もしくは体部が強く溶解するエッチング型の出現率が減少した.
    4)他方,小柱構造が不明瞭なエッチング型は,すべてのエッチング時間について高頻度に認められた.
    5)非切削乳歯エナメル質平滑面に対するエッチング時間は,本研究で用いたエッチング時間中では,60秒が望ましいと考える.
  • 今村 基遵, 長門 洋代, 会田 栄一, 安立 妙子, 石黒 裕茂, 小野 俊朗, 黒須 一夫
    1988 年 26 巻 2 号 p. 328-335
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    各種の床型の咬合誘導装置には, 即時重合レジンを用いることが多いが, 不馴れな小児が取り扱うため,また,レジンの強度も弱いため,よく破折等のトラブルを起こす.そこで,即時重合レジンにグラスファイバーシートを埋入することにより,補強できるのではないかと考え,JIS規格T6501に準じた抗折たわみ試験,ならびにJIS規格K7113に準じた引張試験を行った.
    その結果, 即時重合レジンのみでは,JIS T6501「義歯床用アクリリック樹脂」の抗折たわみ試験の基準に達していなかったが,即時重合レジンにグラスファイバーシートを埋入することにより,たわみ量は減少した.特に, 試験片全体にグラスファイバーシート1枚と荷重のかかる中心部に短いシートを入れたものと,試験片全体にグラスファイバーシート2枚を入れたもののたわみ量は,JIS規格を満足していた.さらに, 即時重合レジンにグラスファイバーシートを埋入することにより,引張破壊強さは増し,引張破壊伸びは減少し,引張弾性率は増し,引張耐力も増していた.特に引張耐力は,グラスファイバーシートを埋入することにより改善が著しく,その値はファイバーの量に比例する傾向が認められた.
  • 吉安 高左郎
    1988 年 26 巻 2 号 p. 336-359
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は脳性麻痺児(CP児)にみられる,咀嚼機能障害の特徴を把握し,客観的な分類評価を行うことを目的とした.
    被検者は脳性麻痺児20名と対照群として咬合異常を認めない健常小児10名を用いた.咀嚼機能障害の評価方法としては空ロタッピング運動時と咀嚼運動時の咀嚼筋筋活動について検討した.空ロタッピング運動は自由および規定タッピング(76回/分)を行わせた.咀嚼運動はカマボコと市販のガムを使用し自由咀嚼と右側および左側の規定側咀嚼を行わせ,咀嚼リズムの観察を行った.
    以上の方法による研究の結果,
    1)自由および規定タッピングともにCP群は有意に遅いタッピングを行い,特に規定タッピング(76回/分)では,CP群がタッピング遂行能力で劣っていることが明らかとなった.またCP群はタッピング運動中で半数以上に1筋あるいは2筋に左右同名筋筋活動の非同期性を認め,またインターバルにおいても筋の緊張亢進が認められた.
    2)咀嚼リズムの観察ではカマボコおよびガム咀嚼とも対照群に比べCP群は,持続時間の値が有意に長かった.
    3)カマボコ咀嚼の嚥下までの時間および回数,また,ガム咀嚼の20ストロークまでの時間もCP群が大きな値を示し, ガム咀嚼, カマボコ咀嚼とも4 筋D,I,C平均被検者内変動もCP群が大きな値を示した.
    4)咀嚼機能総合評価では対照群平均3.8点に対してCP群平均36.9点とCP群が著明に大きな点数を示し,さらにCP群の咀嚼機能障害度については,軽度(S1),中等度(S2),重度(S3)に分類することができた.
    5)脳性麻痺の生理学的分類と咀嚼機能障害度との関係は,痙直型を示すCP児が軽度(S1)に,アテトーゼ型を示すCP児が中等度(S2)以上に分類される傾向が認められた.
  • 大土 努, 楽木 正実, 小村 隆志, 祖父江 鎮雄
    1988 年 26 巻 2 号 p. 360-370
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    リン酸4カルシウムまたはα-リン酸3 カルシウムの粉末とクエン酸またはリンゴ酸を練和して得られるセメントは,組成からみて生体親和性にすぐれていると考えられる.そのことを確認するため,セメント硬化体をラット皮下に埋め込み,全身および局所に与える影響を調べた.またこれら粉末は,中性領域の水溶液中でハイドロキシアパタイトに転換することから,生体内でのセメント硬化体の変化についても検討した.その結果,
    1.実験期間中の体重変化およびセメント硬化体埋め込み12週目での血液学的検査,血清生化学的検査および肝・腎・脾の病理学的検査のいずれにおいても,特に異常所見は認められず,本セメントの全身への影響はないものと考えられた.
    2.セメント硬化体埋め込み周囲組織の病理学的検査の結果,α-リン酸3カルシウムとリンゴ酸の組み合わせのセメントでは,セメント硬化体と接する組織に炎症細胞が認められ,局所刺激性が示唆されたが,他のセメントではハイドロキシアパタイトと同程度の組織親和性が示された.
    3. 実験期間中にセメント硬化体の外形およびX線透過性に変化はなかった.また埋め込み12週目での硬化体のX線回折の結果から,いずれのセメントもハイドロキシアパタイトへ転換することが示され,α-リン酸3カルシウムセメントよりリン酸4カルシウムセメントの方がよりすみやかにハイドロキシアパタイトに転換することが示された.
  • 篠田 圭司
    1988 年 26 巻 2 号 p. 371-390
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列期からの歯列の成長に伴う顎運動の変化,さらに小児期(混合歯列期)の不正咬合が顎運動に対してどのような影響を及ぼしているかについて検討を行った.
    被検者は乳歯列期,混合歯列期,永久歯列期の個性正常咬合を有する小児それぞれ10名と不正咬合群として混合歯列期の交叉咬合小児1 0 名, 下顎前突小児10名づつを用いてチューインガム咀嚼時の顎運動パターンについて比較検討を行った.
    1)下顎の各計測体における移動量について最下方点垂直移動量(最大開口量)を100とした比率で表した結果,最下方点および作業側側方位の水平移動比は乳歯列群,混合歯列群,永久歯列群の順に大きく,逆に咀嚼幅は乳歯列群で最も小さかった.すなわち乳歯列群の側方へ偏位した咀嚼幅の狭いパターンから,歯列の成長に伴って次第に正中に沿った咀嚼幅の広いパターンを示す傾向が認められた.
    2)乳歯列群での咀嚼タイプはチョッピングを示し,一方,混合歯列群および永久歯列群ではグラインディングを示すのがが特徴的であった.
    3)交叉咬合群,下顎前突群はともに正常咬合群に比べ,作業側側方位の水平移動比が小さく,正中に沿った咀嚼幅の狭い咀嚼パターンを示した.
    4)不正咬合者における逆サイクルの出現率は習慣側,非習慣側ともに下顎前突群が高い値を認めた.以上より,乳歯列期から永久歯列期へと顎運動パターンが変化することが認められた.さらに不正咬合が顎運動に影響を及ぼしていることも明らかとなった.
  • 田北 恵子, 下飛田 道子, 緒方 哲朗, 濱野 良彦, 中田 稔
    1988 年 26 巻 2 号 p. 391-398
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    齲蝕等,歯質の実質欠損において,残存歯質の厚径を診断するために行われる電気抵抗値の測定に際し,測定値に影響を及ぼす種々の測定条件について,抜去乳前歯を用いて検討を行った.
    測定条件として,2種の通電体(生理食塩水,歯磨剤),3種の形態の測定針(被覆なし鋭針,被覆あり鋭針,被覆あり平頭針)を用いた.対象窩洞は,歯髄との近接度により3群にわけ,繰り返し測定によるばらつきの比較,二元配置分散分析法による有意差の検定を行った.
    その結果,歯髄腔に近接した窩洞においては,それぞれの要因による有意差が認められ,通電体としては生理食塩水がより高い値をとり,測定針としては,被覆あり鋭針が最も高い値をとり,次いで,被覆なし鋭針,被覆あり平頭針と低い値をとる傾向が認められた.その他の窩洞群では差は認められなかった.
  • 伊藤 裕一郎, 杜 瑞瑛, 殿内 真知子, 劉 栄伸, 森崎 治子, 加藤 陽子, 田村 康夫
    1988 年 26 巻 2 号 p. 399-405
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Alagille症候群は肝内胆管形成不全に加え特異的顔貌,肺動脈狭窄を主体とする心臓血管系の異常,脊椎奇形,成長発育遅延,知能発達遅延,性腺発育遅延などを有する疾患である.
    今回,著者らはAlagille症候群と診断された12歳女児の歯科的診査を行った結果,以下のような所見を得た.
    1)患児は本症候群の主症状・徴候を満たしていた.
    2)初診時,永久歯24歯中20歯にわたる広範囲の齲蝕が認められた.
    3)上下顎とも顎は狭窄し,セファロ分析結果から上下顎ともに劣成長と診断し,また,軽度の骨格性下顎前突の傾向も認められた.
    4)歯には黄褐色の色調変化が認められた.
  • 門馬 祐子, 真柳 秀昭
    1988 年 26 巻 2 号 p. 406-414
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,齲蝕を伴った下顎左側第2乳臼歯の埋伏とその後継永久歯歯胚の位置異常を示した4歳6カ月の女児の症例に遭遇した.
    既往歴,家族歴には特記すべき事項はない.乳歯は下顎左側第2乳臼歯を除いて総て萌出しており,且つ齲蝕に罹患していた.埋伏を示す下顎左側第2乳臼歯部の歯肉には発赤腫脹が認められた.
    X線写真では,下顎左側第2乳臼歯は骨に囲まれ,咬合面の近心半側に齲蝕様の透過像が認められた.また,下顎左側第2小臼歯の歯胚は第2乳臼歯と第1大臼歯の間に認められた.
    処置として,下顎左側第2乳臼歯の摘出を行った.当該歯の咬合面1/2に広範な実質欠損が存在した.他の乳歯の齲蝕治療中,下顎左側第1大臼歯が近心に傾斜して萌出し,第2乳臼歯部の空隙の喪失が生じたので,スプリットベース式のbilateral space regainerをもちいて,第1大臼歯の遠心移動を行った.
    埋伏の原因は不明であるが,齲蝕罹患の原因については,口腔内が不潔で齲蝕が多発していたことから,歯周ポケットからの感染が疑われる.尚,下顎左側第2小臼歯は第2乳臼歯が埋伏したため本来の位置に移動できずに位置異常を起こしたものと考えられる.
  • 鍋島 耕二, 石川 隆義, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1988 年 26 巻 2 号 p. 415-422
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    舌の先天異常としては,舌癒着症,葉状舌,巨舌症,小舌症,無舌症などがある.そのうちの小舌症,無舌症はきわめて稀な疾患である.
    我々は,本学小児歯科外来を訪れた8歳5カ月の男児の小舌症に遭遇し,次の所見を得た.
    1.患児に,小舌症,下顎前歯部の先天性欠損,上下顎の劣成長,高口蓋,口蓋粘膜下破裂を認めた.また,先天性心室中隔欠損症の既往があった.
    2.舌は口腔底のほぼ中央部に位置し,舌根部に異常はないが,舌体は長さ約2cm,幅約1cmで舌尖に向かって狭いV字状の形態を示した.
    3.舌の運動,嚥下運動,味覚の異常は認めなかった.また発音は,舌背が軟口蓋に接触してできる「キ」「ギ」「ケ」「ゲ」などの破裂音に歪を認めたが,他の構音障害は軽度で日常会話はかなり明瞭であった.
    4.妊娠2カ月時の風疹ウイルスによる子宮内感染が原因の1つとして考えられた.
    5.今後,小舌症自体の手術等による処置は不可能と考えられるが歯列,歯周組織を含めた総合的な口腔管理の必要性があると思われた.
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