抄録
Pierre Robin症候群はフランスの病理学者Pierre Robbinの名にちなんで名付けられた,新生児において小顎症,舌根沈下,吸気性気道閉塞の三徴候を含む複合症状である. 今回,私たちはPierre Robin症候群の一例に遭遇し,その臨床的所見ならびにエックス線所見から次の様な知見を認めた.
1)聴力,視力に異常は認められないが,発語がほとんどみられなかった.
2)頭蓋骨に指状圧痕を認め,顎関節部の形成異常,左右下顎枝の非対称を認めた.
3)口蓋裂は伴っていないが,二分口蓋垂,上咽頭閉鎖不全を認めた.
4)咬合状態は前歯部開咬,下顎遠心咬合で,歯列弓の狭窄および高口蓋を認めた.
5)永久歯胚は上下顎第二小臼歯,第二大臼歯,第三大臼歯の石灰化は認められなかった.