2013 年 19 巻 2 号 p. 120-124
門脈圧亢進症を背景とした十二指腸血管拡張は門脈圧亢進性十二指腸症の一部と考えられ,当科での60例を対象としその臨床的特徴および治療適応について後方視的に検討を行った.60例全例で食道静脈瘤が併存し,41例(68.3%)で食道静脈瘤に対する内視鏡的治療歴を認めた.門脈圧亢進症性胃症の併存率は41.7%,胃前庭部毛細血管拡張症の併存率は50.0%であった.十二指腸血管拡張の存在部位は球部が78.3%と高頻度であった.60例中16例(26.7%)で十二指腸血管拡張からの出血を認め,6例でアルゴンプラズマ凝固法(APC)を用いた止血処置に成功した.残りの10例は止血処置を施行しなかったが,再検時には出血を認めなかった.貧血進行例が治療適応と考えられ,その治療法としてAPCによる止血処置が有用であった.