2017 年 23 巻 2 号 p. 155-160
インスリン抵抗性は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような糖尿病を高率に合併する慢性肝疾患における病態増悪因子であり,その制御がNASHの治療戦略となりうる.今回我々はSGLT2阻害薬が肝線維化進展を抑制しうるか否かを検討した.2型糖尿病ラットにブタ血清を腹腔内投与して肝線維化を作成し,SGLT2阻害薬であるイプラグリフロジンを投与すると,インスリン抵抗性改善とともに用量依存性に肝線維化進展が抑制された.肝線維化抑制の機序を検討するためにヒト肝星細胞株に対するイプラグリフロジンの直接的作用を検討したところ,グルコース・インスリン刺激により促進された肝星細胞の細胞増殖に対して明らかな抑制効果を示さず,線維化関連因子の抑制もみられなかった.このことからSGLT2阻害薬はインスリン抵抗性の改善により高血糖,高インスリン血症を是正することで間接的に肝線維化抑制効果を示すことが明らかとなった.