日本食品保蔵科学会誌
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真空調理におけるブロッコリーの部位別ビタミンC含有量の変化
中嶋 名菜平田 咲白土 英樹北野 直子松添 直隆
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2014 年 40 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

 野菜の栄養成分は,洗浄・切断・ゆで・加熱などの調理操作段階で損失することが知られている。特に,水溶性であるビタミンC(以下,VC)は,ゆで水に溶け出すため注意が必要である。ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)はVCが豊富で栄養的に優秀な食材である。本研究ではブロッコリーの可食部(花蕾,花茎,茎の内側,茎の外側)のVC含有量,ならびに調理操作によるVC残存量を調査した。通常調理法は試料重量の10倍の沸騰水中(ゆで水)で約95℃で3分間加熱した(ゆで加熱)。真空調理法は試料と試料重量の1/3に相当する水をフィルムに入れ真空包装し,通常調理法と同様に加熱した。VCの定量はHPLCポストカラム誘導体法を用いた。未調理のブロッコリーのVC含量は,花茎,茎の内側,花蕾,茎の外側の順で高かった。調理後のVC含量は真空調理法が通常調理法(ゆで加熱)に比べすべての部位で有意に高値を示した(p<0.05)。VCのゆで水への溶出量は真空調理法では通常調理法(ゆで加熱)に比べてすべての部位で有意に少なかった(p<0.01)。真空調理の表面殺菌の有無によるVC含量は,花蕾以外のすべての部位で表面殺菌有りのほうが有意に高値を示した(p<0.05)。以上のことから,真空調理法による各試料のVC量は通常調理法(ゆで加熱)に比べて高く,優位性が示された。

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© 2014 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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