Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
Full-endoscopic laminoplastyにおけるドレーン留置本数による術後硬膜外血腫の比較検討
米山 励子大森 一生李 徳哲遠藤 康広
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2023 年 14 巻 8 号 p. 1128-1132

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抄録

はじめに:脊椎手術後の硬膜外血腫による神経障害は回避すべき合併症の一つである.今回われわれは,Full-endoscopic laminoplasty(FEL)術後の血種形成にドレーン留置本数が及ぼす影響を検討した.

対象と方法:腰部脊柱管狭窄症に対し単椎間のFELを施行した24例を対象とし,ドレーン1本留置群(D1群:12例),2本留置群(D2群:12例)に交互に割り付けた.ドレーンは最大陰圧とし,4日目に抜去し,排液量を調査した.また術後1ヶ月時点の当該椎間MRI水平断画像より計測した硬膜外血腫の面積,JOAスコア改善率を2群間で比較検討した.

結果:術後4日間の総ドレーン排液量はD2群が有意に多かった(D1 161.6 ml,D2 218.8 ml,p=0.026).術後1ヶ月の硬膜外血腫の最大面積も,D2群がD1群より大きい傾向にあったが(D1 99.0 mm2,D2 186.5 mm2 p=0.09),両群のJOAスコア改善率に有意な差はなかった(D1 75.0%,D2 85.7%,p =0.33).

結語:複数本の閉鎖ドレーン留置により陰圧が増すことで,硬膜外腔,掘削した骨からの後出血を助長し止血を阻害することにより,ドレーン排液量・画像上の血腫量が増えることが示唆された.D1-D2群間の術後臨床成績に差はなく,侵襲の面からもFEL後留置ドレーンを2本留置する必要はないものと考えられる.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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