日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803における糖異化遺伝子群の発現制御機構の解析
*東 美由紀小山内 崇田中 寛
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p. 0732

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抄録
生物は、生育環境において栄養状態が変化した時、代謝系の切り換えを行うことで環境に適応する機構を備えている。Synechocystis sp. PCC 6803においては、窒素欠乏時に糖異化の遺伝子群の発現が誘導されることが報告されており、その制御機構には転写因子NtcA、RNAポリメラーゼのシグマ因子SigEを初めとする多数の因子が関与していることが示唆されている(Osanai et al., 2006)。今回我々は、窒素欠乏シグナルに応答した糖異化遺伝子群の転写活性化に関わる新たな因子rre37を同定し、ntcAsigEとの関連についても解析を行ったので報告する。
Rre37は、窒素欠乏時にNtcA依存的に発現量が上昇する二成分制御系のレスポンスレギュレーターである。マイクロアレイ解析により、Rre37依存的に発現制御を受ける遺伝子群を調べた結果、Rre37は、gap1 (slr0884)、pfkA (sll1196)、glgX (slr1857)、glgP (slr1367)といった糖異化に関わる遺伝子群の転写を正に制御していることが明らかとなった。また、これらの遺伝子群はSigEによっても発現制御を受けるため、rre37sigEの変異株を用いて遺伝学的にこれらの関係を調べたところ、Rre37とSigEはそれぞれ独立に糖異化遺伝子群の発現を制御していることが示唆された。
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© 2008 日本植物生理学会
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