抄録
包括的呼吸リハを継続しているCOPD患者で進行性体重減少を呈する1症例に対し,濃厚流動食を用いた栄養療法を1年間継続したところ,体重が維持され,呼吸筋力や運動耐容能の低下を防止できた.症例は71歳,男性.主訴は労作時呼吸困難.現症は,病期分類Ⅳ期,体重43.5 kg,BMI 16.9 kg/m2,FFMI 14.3 kg/m2,エネルギー充足率91.5%,REE 1431 kcal,hsCRP 1.1 mg/L,6MWD 73 mであった.本例に,月に1回の栄養指導に加え,流動食(200 kcal/本)を1日2本継続摂取させた.1年後,病期分類Ⅳ期,体重42.6 kg,BMI 16.6 kg/m2,FFMI13.7 kg/m2,エネルギー充足率88.4%,REE 1430 kcal,hsCRP 0.8 mg/L,6MWD 88 mで維持されていた.本例の効果は,包括的呼吸リハ継続中のCOPDにおける,流動食を利用した積極的な栄養補充の有用性を示唆すると考えられた.