抄録
本報告では、国内で始めて商品化に結びつけた形状記憶合金を用いた微笑サイズの医療部品の開発を事例にして、デザイン行為がこの開発にどのような役割、成果をもたらしたかを明らかにし、医療技術へのデザインの役割の意義を示す。デザイン対象は超弾性を示す形状記憶合金を用いた直径2mm、長さ30_-_50mm、線幅0.15mm,厚さ0.15mmの網形状をした円筒部品である。放射線医学では血管、尿管、胆管など閉塞した箇所に挿入し、3_から_6倍に自己拡張させて治療することに用いる。ステントの変形機構や生体に優しい形状、構造を探求し、試作、試用、評価を繰り返し日本独自の新たなステントを開発した。生体による実験の結果、欧米他社製品には見られない、柔軟性、屈曲性、拡張性、保持力を持つことが判明した。自由曲線を用いた有機的なデザインほか、生体に優しい形態、構造を探求したことが要因と思われ、医療技術領域でのデザインの役割の大きさが伺われた。