抄録
ユーザがデザインをより創造的なものにすると言われているが、ユーザの知識が体系化されているとは限らない.本研究では,ユーザの行動を見抜く方法として行動観察に着目した.動画観察を用いてユーザにニーズ探索を行なってもらい,アイデア創出を行ってもらう実験を行った.有効な動画観察の方法としてエピソードを用いた手法を提案した.本研究におけるエピソードとは,動作の集合体が行動となるとして,動作の集合体を指し,一連の動作から なるエピソードとして行動がとらえられると考える.エピソードはタグと動作エピソードで構成される.タグは,行動の内容を体系化するものとして使用した.実験は,日常的風景からデザインアイデアを創出してもらい,エピソードを用いた動画観察の効果を実験的検討を通して評価を行うことを目的とし,大学院生10名を対象に実験を行った.結果,エピソードはデザインアイデアをのヒントを得るためのツールとして使いやすいと評価され,今後,展開可能であると示唆された.また,動画やエピソードから自分の経験を思い出すことができることがデザインをより創造的にするきっかけとなるのではないかという検討ができた.