本稿はファッション雑誌『Harper's Bazaar』『ELLE』『an・an』にみる視覚文化の創造プロセスを議論する。亀倉雄策に代表されるように日本のデザイナーは『Harper's Bazaar』における芸術的・視覚的探求に触発された。『Harper's Bazaar』のアレクセイ・ブロドヴィチのイメージ手法およびカーメル・スノウのパリ・リポートの写真と編集方法を分析し、1960年代の『ELLE』と1970年代の『an・an』のモデルによる国外取材を比較検討する。1970年代、大衆的ヴィジュアル雑誌『an・an』は日本の若い女性たちにライフスタイルに影響を与えてきたが、そのデザイン方法とファッション写真の源流を『Harper's Bazaar』『ELLE』にあると結論づける。さらにファッション雑誌は視覚文化のデザイン資源であると結論づけることができる。