本稿では,これまでから「新時代」を情報化と国際化の社会変化への対応と定義してきている筆者らが,その基礎レベル科学教育分野のあり方を研究開発の事例紹介とともに提案する。具体的には,30年にわたる研究交流を続けているタイ国教育省・科学技術教育振興研究所(以下IPSTと記す)で取り組んできた共同研究開発「BSTプロジェクト」(Basic Science Teaching Project)における基本的な考え方とともに,その科学実験題材と機材の代表的な事例を報告する。一人の科学教育研究者の長年の取り組みが,ながい経過をへて一つの国の科学教育の改革にも影響を及ぼしかねないプロジェクトに発展する事例として,今後の国際協力の検討材料になるものと考えている。