抄録
思慮探い市民を育成するための現代的スローガンであるESDは,大学など教育機関においてさまざまな形で展開されている。しかしながら,大学生のSDへの意識や態度を評価する指標は未だ確立されてはいない。汎用的な指標を探求していくための課題は多いが,そのひとつにいかなる問題状況(文脈)を設定すべきかという問いがあろう。本研究では,PISA2006調査に用いられた問題状況のテーマをフィルターとして,大学生の意識するSDが示す問題状況の特色を探った。結果,SDとして学生の意識する問題状況の多くは「資源」に関連していると分かった。また,科学的リテラシーの枠組みで捉えきれない問題状況を,学生はSDとして意識していることも示唆された。