主催: 一般社団法人 日本科学教育学会
会議名: 日本科学教育学会 第49回年会
回次: 49
開催地: 広島大学 東広島キャンパス
開催日: 2025/09/05 - 2025/09/07
本研究では,文系大学生を対象に実施した数学基礎力テストの中から,2次関数の頂点を求める問題を取り上げ,文系大学生の数学の理解度および誤答の傾向を分析した.分析によると,今回取り上げた問題の中で最も基本的な形である𝑦=𝑥^2−1 の正答率が一番低く,想定外の結果となった.誤答には,平方完成を無理やり適用したものや意味を考えず右辺を因数分解して,𝑥軸との共有点を求めたものなどが多数確認された. 𝑦=3(𝑥+2)^2−1の頂点を求める問題では,すでに平方完成がなされている標準形の式を展開して,一般形「𝑦=3𝑥^2+12𝑥+11」にし,その式を平方完成することで標準形「𝑦=3(𝑥+2)^2−1」に戻す答案や,一般形「𝑦=3𝑥^2+12𝑥+11」の式にしてから,頂点は(2,-1)と解答する論理的ではない答案が散見された.これらの結果から,手続きの丸暗記による用具的理解は「正答を求めるという目的に限定すれば効率的」にみえるが,様々な弊害をもたらす可能性があることが確認された.本研究の結果から,式変形を適切に言語化することやグラフを用いて式との関係を理解する意味的理解を促す指導が重要になると考える.