土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
地表面近傍での地中熱流量の測定における温度勾配法と熱流板法の比較および貯熱の影響
鈴木 伸治飯塚 圭子渡邊 文雄島田 沢彦高橋 悟
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2013 年 124 巻 p. 35-42

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抄録

地中熱流量は,陸面における熱交換の重要な構成要素であり,熱収支をもとにした蒸発散量の定量化に必要である。そのため,測定方法の特性を知ることは有益である.本研究では,異なる土壌水分のもと,(i)深さ0.02 mにおいて温度勾配法と熱流板法を比較すること,(ii)その際,熱流板法において Philip の補正の影響について検討すること,(iii)さらに表層(厚さ0.02 m )の貯熱の影響について検討することを目的とした.その結果,土壌の熱伝導率が熱流板の熱伝導率の約1/2の場合(湿潤状態)では, 温度勾配法と熱流板法は非常によく 一致したが,土壌の熱伝導率が熱流板の熱伝導率の約1/10の場合(乾燥状態)では,熱流板法は地中熱流量の絶対値を一定の割合で過大評価した.また Philip の補正の実用的な効果は認められなかった.さらに表層の貯熱量は,1日の中では深さ 0.02 mにおける地中熱流量と同程度の変化を示したが,1日の積算では極めて小さかった.

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© 2013 土壌物理学会
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