水分吸脱着測定装置AquaLab VSAは,送風空気の湿度制御と鏡面冷却露点センサーにより,連続的に吸水,あるいは脱水過程の水ポテンシャルと試料の重量を自動測定する.本研究では,シルトロームの藤の森土,十勝黒ボク土,鳥取砂丘砂の3種類の土を対象に,VSAを用いて-7.2 x10 4 cmから -3.2 x10 6 cmの乾燥領域の水分保持曲線を測定し,その測定精度や設定パラメータの特性を調べた. 0.01% h-1 以下の基準値 mtrig を用いたDVS方式では,土中水のポテンシャルと空気湿度の十分な平衡が確認された.また,低水分領域では表面保水が卓越するため,平衡した重量含水比は,土の乾燥密度によらず一定であった.新たに開発されたDDI方式の妥当性を,DVS方式との比較により確認した. DDI方式では,送風空気の流量 Qair を100 mL min-1 に設定することで,連続的な水分保持曲線を50 h程度で精度良く測定できた.DDI方式を用いると,乾燥領域の水分保持曲線のヒステリシスや走査曲線を再現性良く測定できることが確認された.
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