2018 年 4 巻 1 号 p. A_97-A_105
本研究では,栃木県に立地する商業施設を対象とし,大規模小売店舗の出店に伴う交通アセスメントの一つである方向別来台数の予測について,その予測手法に着目した分析を行った.実際に方向別来台数を算出する際に用いた商圏設定の実態について,円状の商圏(円商圏)を用いていた店舗が多数を占め,商圏半径は店舗面積によらず任意に設定されていることを明らかにした. 加えて予測精度の向上を目的とし,円商圏の設定値を変化させる手法,店舗への旅行時間を反映した手法(旅行時間商圏)と,それぞれの手法に来店割合を用い店舗間の競合を簡易的に考慮する手法について,実測値と比較することで検証した.検証したすべての店舗において,旅行時間商圏を用いかつ来店確率を考慮する場合,従来の手法に比べ精度が大幅に向上することを明らかにした.