2019 年 5 巻 4 号 p. A_58-A_63
21 世紀に入ってから、「安心」という言葉が多用されるようになった。地下鉄を含めた公共交通でも事業者の目標の一つに安心が掲げられることもあるが、その達成度の評価や事業者の施策がどのように利用者の安心に結びついているかは明らかではない。 本研究では、安心を定義づけ、安心の構造を明らかにした後、事業者による安心感醸成施策のうち安全やマナーに関する広告を取り上げ、それらが利用者の安心につながっているのかを検証した。 結果として利用者の地下鉄における安心は、それに寄与する個々の要素の安心度合から定量的に示すことが出来ることが明らかになった。また広告についてはそれ自体による安心の醸成の効果はないが、注意を喚起したり、関心を持たせたりする効果はあることが明らかになった。