日本では速度規制の無い生活道路が無数に存在し、これらの道路区間における速度抑制が課題となっている。その理由はインフラ側からの速度抑制対策が困難である。このため、車両側からの助言型 ISA の導入を通じた速度抑制効果が期待されている。本研究は、速度規制の無い生活道路における助言型 ISA の情報提供による運転者の速度抑制効果を検証することを目的とする。そのため、高齢者 10 名、非高齢者 10 名のプローブデータを用いて、助言型 ISA の稼動前、稼働中における道路区間別の平均走行速度の変化を把握した。その結果、速度規制の無い生活道路において、非高齢者と異なり、助言型 ISA が高齢運転者に対して、速度抑制効果があることや歩道整備状況・沿道の住宅立地状況に関わらず、高齢運転者に対する助言型 ISA の速度抑制効果があることが示された。
従来の「走る,曲がる,止まる」に加えて,自動車の新たな機能の一つとして「繋がる」に注目が集まっている.この「繋がる」という機能は,路車間・車車間通信の両システムが連携する協調 ITS において今後更なる活用が期待される機能である.また,車車間通信が実用化されるにあたって車単体で取得することが出来ない範囲を提供する先読み情報の重要性が更に高まると思われる.本研究では,路車間・車車間通信サービスの一例として,路車間通信による渋滞末尾情報と車車間通信による先々行車両の加減速情報がドライバの運転行動に与える影響の違いを DS を用いて比較した.その結果,加減速情報を提供することで,ドライバに安全な走行を促すことに寄与し,渋滞末尾情報を提供することで,ドライバの安全意識を向上させることに寄与することが示唆された.
高速道路を逆走したドライバの7割が高齢者であり、その中には軽度認知障害有病者が含まれているため、どのような逆走通知内容が軽度認知障害有病者にとって有効であるかを検討する必要がある。ITS 技術の活用を想定した車内設備からの音声通知と、高速道路に設置する LED 表示板を用いた文字による通知を対象として、どのような通知内容が逆走を知らせるのにふさわしいのか、自分の状況を確認し落ちついて行動できるのかを確認するため評価実験を行った。その結果、音声案内では、現状と指示を与える「逆走の恐れがあります。進行方向を確認してください」が最も良い評価であった。LED 表示板を用いた実験では、逆走を知らせるのに最もふさわしいのは「逆走もどれ」であり、切り替え表示の評価は低かった。以上から、逆走通知内容は単純で直接的な文言がふさわしいと考えられる。