2026 年 48 巻 2 号 p. 90-95
深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT)に対する抗凝固療法が中止された後に,卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO)を介した奇異性脳塞栓症を発症した一例を報告する.症例は78歳男性.X−4年左大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭挿入術後に左大腿静脈にDVTが生じDOACが開始された.DVTは残存するものの軽減傾向で,約3年後にDOACは終了となった.その5カ月後に脳梗塞を発症し,出血性梗塞,責任血管の再開通を認め脳塞栓症として精査したところPFOが発見された.DVTは残存しておりPFOが関与する奇異性脳塞栓症としてDOACを再開した.PFOは健常者の約26%に存在するといわれており,DVTを有する患者にはその存在を念頭に置いて,またDVT再発のリスクを考慮して急性期以降のDOAC中止の可否を検討することが重要である.