2001 年 23 巻 2 号 p. 188-194
非弁膜症性心房細動194例(発症年齢65.1±10.5歳,ワルファリン開始年齢69.5±8.8歳,男性124例,女性70例,慢性心房細動157例)を対象としてワルファリンによる脳梗塞発症一次予防の後ろ向き検討を行った.総観察期間7,175カ月間で脳梗塞は11例(年間発症率1.8%)に,また脳出血は3例(年間発症率0.5%)に生じた.平均INR別に低用量ワルファリン群(1.5≦平均INR<2.4)92例と超低用量ワルファリン群(1.0<平均INR<1.5)102例の2群に分けて検討すると,臨床背景については有意差を認めなかった.脳梗塞発症率は低用量ワルファリン群で年間0.6%と超低用量ワルファリン群の年間3.1%に比して有意に低率であったが(p=0.028),脳出血発症率は両群間で有意差がなかった(0.3vs0.7%/年,p=0.522).本邦の非弁膜症性心房細動例の脳梗塞発症一次予防には低用量ワルファリンが推奨される.