日本血管外科学会雑誌
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症例
腹腔動脈閉塞と上腸間膜動脈狭窄を伴った未破裂下膵十二指腸動脈瘤の1手術例
木村 知恵里安達 秀雄山口 敦司井野 隆史
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 18 巻 7 号 p. 691-694

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抄録

今回われわれは腹腔動脈閉塞と上腸間膜動脈狭窄を伴った未破裂下膵十二指腸動脈瘤の手術例を経験したので報告する.症例は42歳の男性.前医で撮影した腹部CTで腹部内臓動脈瘤を指摘され当院で精査したところ,直径20mmの下膵十二指腸動脈瘤と判明した.加えて腹腔動脈閉塞と上腸間膜動脈起始部の高度狭窄を認め,画像所見からは正中弓状靭帯圧迫症候群が疑われた.開腹下に瘤切除および大伏在静脈を用いた腹部大動脈-脾動脈バイパス術を施行した.瘤周囲を中心に癒着が高度で正中弓状靭帯は確認不可能であった.瘤壁の病理組織学的所見は内弾性板や中膜平滑筋の菲薄化であり,炎症細胞の浸潤や動脈硬化性変化はなかった.経過は良好で術後14日目に退院となった.上腸間膜動脈狭窄は残存しているものの,特記すべき症状はなく外来で経過観察中である.

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