2013 年 22 巻 1 号 p. 25-28
要 旨:症例は48歳女性.1年前に右乳癌で乳房温存手術を受けており,そのフォロー中のCTにて右鎖骨下動脈瘤を指摘され当科紹介となった.乳癌は乳房温存手術とセンチネルリンパ節廓清で治療され,中心静脈穿刺の既往はない.造影CT上,鎖骨下動脈瘤は20×17 mmの大きさであり鎖骨より頭側に位置する胸腔外型であった.手術は全身麻酔下に仰臥位,鎖骨上アプローチで行い,右鎖骨上窩に5 cmの皮切を置いた.胸鎖乳突筋,内頸静脈,横隔神経を剝離し,鎖骨下動脈と動脈瘤を確認した.ヘパリン投与後,鎖骨下動脈瘤の中枢と末梢を遮断し瘤を切除した. 剝離により十分な長さが得られたため鎖骨下動脈は人工血管を使用せず端々吻合で再建した.合併症もなく術後経過は良好であった.鎖骨上アプローチのみで手術可能であった胸腔外型右鎖骨下動脈瘤を経験したので,文献的考察を加えて報告する.