日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
MRSA感染遷延のため腎動脈上固定型ステントグラフトを29カ月後に抜去した1例
出津 明仁 松下 昌裕
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 5 号 p. 423-428

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抄録

胃の手術後にMRSA敗血症による感染性腹部大動脈瘤を発症し,切迫破裂のためステントグラフト内挿術(EVAR)を受けたもののMRSA感染が遷延し,保存的治療で制御できないため,非解剖学的再建,ステントグラフト(SG)抜去を行い,治癒し得た症例を経験したので報告する.症例は82歳,男性.胃GIST(Gastrointestinal stromal tumor)再発に対する残胃全摘術後に腹部大動脈瘤切迫破裂となり,腎動脈上固定型SGによるEVARを受けた.血液培養でMRSAが検出されたため,抗菌薬治療,膿瘍ドレナージを行ったが感染を制御することはできず,EVARの29カ月後にSG感染に対して非解剖学的再建,SG抜去を行った.腹腔動脈上で大動脈を遮断し,腎動脈上固定用のトップステントをワイヤーカッターで切離して,遺残なくSGを除去した.感染SG抜去手術後28カ月時点では感染の再燃を認めていない.

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