日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
大腿静脈原発平滑筋肉腫の1例
國本 秀樹 栗山 雄幸岩橋 正尋高垣 有作中村 恭子重里 政信
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

血管原発の平滑筋肉腫は稀な疾患で,予後も悪い.中でも大腿静脈原発の血管平滑筋肉腫は報告が少なく,中・長期予後に関してよく知られていない.今回われわれは大腿静脈原発の平滑筋肉腫に対して根治的手術を行い術後5年間経過をフォローしたので報告する.症例は75歳女性.右下肢浮腫を主訴に来院した.エコーで大腿静脈に腫瘤性病変を認めた.造影CTで大腿静脈内に2×3 cm大の腫瘤を認め,内部が不均一に造影されていた.軟部腫瘍を考慮して全身麻酔下で大腿静脈とともに腫瘍を摘出した.病理検査でα-SMA陽性で,大腿静脈原発の平滑筋肉腫の診断となった.術後3年10カ月で甲状腺に腫瘤が出現したため甲状腺全摘術を行ったところ病理検査で平滑筋肉腫の診断となった.その後椎体,肺,肺静脈,皮膚,他全身転移し,術後5年で多臓器不全で死亡した.局所再発は認めなかった.

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