2019 年 28 巻 3 号 p. 183-186
腎移植後の総腸骨動脈瘤破裂は稀な病態であり,救命とともに移植腎の温存が課題である.今回,生体腎移植後13年目に発症した右総腸骨動脈瘤破裂の1救命例を経験したので報告する.症例は72歳女性.60歳時に夫をドナーとした右腸骨窩生体腎移植を施行された.今回,腰痛および腹痛を主訴に救急外来を受診し,右総腸骨動脈瘤(径35×52 mm)の破裂と診断され,緊急手術が施行された.移植腎動脈は右外腸骨動脈に吻合されており,瘤は吻合部より中枢の右総腸骨動脈に生じた仮性囊状瘤であった.手術は単純遮断下に瘤切除,総腸骨動脈人工血管置換術を行った.術後第3病日から血液透析を開始したが,第40病日には透析から離脱し,第99病日に軽快退院した.