抄録
1997年8~10月に鹿児島県内で流涎と嚥下障害を主徴とする54例のイバラキ病が発生し, かつ同時期にほぼ同じ地域で牛の流死産も多発した. 流死産の発生は, 妊娠170~280日齢のホルスタイン種に多く認められた. ほとんどの流死産母牛はイバラキウイルス (IBAV) に対して高い中和抗体価を示し, 流死産胎子の血清中にもIBAVに対する中和抗体が検出された. さらに, 11例の流死産胎子の血液, 脳, 脊髄などの臓器から21株のIBAVが分離された. IBAV遺伝子の第3分節を標的としたRT-PCRによって, 分離ウイルスからIBAV No.2株と同一サイズの増幅産物が得られたが, 制限酵素Sau3Alによる切断パターンはIBAV No.2株とは異なっていた. これらの結果から, 今回の流死産はIBAVの感染によって引き起こされたと考えられた.