抄録
我々は陽イオン交換カラムを使用した高速液体クロマトグラフィー (以下HPLC) による, イヌ糖化ヘモグロビンの測定法を確立した. イヌヘモグロビンは, 2つのmajorピーク (HbA0) と, HbA1a, HbA1b, HbA1cからなる3つのminorピークに分画された. 臨床的に正常な犬38頭と糖尿病犬10頭でのHbA1cの平均値はそれぞれ2.60および6.41%であった. またHbA1の平均値はそれぞれ3.58および7.41%となり, 糖尿病犬のHbA1c及びHbA1は正常犬に比較して有意な高値を示した (p<0.01). イヌ糖化ヘモグロビンの測定におけるHPLC法の有用性は高く, インスリン療法のモニターへの臨床応用が可能であろうと考えられた.