2018 年 60 巻 p. 39-45
静岡県内のウンシュウミカン園ではミヤコカブリダニがミカンハダニの主要な天敵となっている。しかし,清耕栽培が行われる栽培園では,地面付近におけるカブリダニ類の生息場所が少ない。カブリダニ類の発生を助長するため,草生栽培が有効と指摘されている。また,ミヤコカブリダニはイネ科植物への生息の報告がある。そこで,2004~2005年にイネ科植物であるナギナタガヤの草生栽培を実施し,カブリダニ類およびミカンハダニの発生を清耕栽培と比較した。その結果,出穂後のナギナタガヤからミヤコカブリダニが捕獲され,ナギナタガヤ枯死後にウンシュウミカン上からも捕獲された。草生区のカブリダニ発生時期は除草区より1~5週間早く,夏季のミカンハダニの密度ピークは除草区の 11~59%にとどまった。少数であったが,秋季~冬季のナギナタガヤからミヤコカブリダニが分離された。これらのことから,ウンシュウミカン園のナギナタガヤ草生栽培は,春季のミヤコカブリダニの発生を助長し,夏季のミカンハダニの密度抑制に有効と考えられた。