抄録
1. 伊勢湾台風 (昭和34年9月26日) による長期冠水が, 植物寄生性土壌線虫類にどのような影響をおよぼしたかについて, 三重県桑名郡長島町および同郡木曽岬村で調査を行つた.
2. 調査を行つた畑地では最高約60日も, 周辺の水田では80日以上もの潮の冠水を記録している.
3. 調査の結果, ネコブセンチユウ類をはじめ, Heterodera glycines, Heterodera sp., Pratylenchus spp., Helicotylenchus spp., Criconemoides spp.,Trichodorus sp. などを検出し, 2ケ月程度の冠水ではこれらの線虫が死滅しなかつたことを確認した.
4. 確認されたネコブセンチユウの種類はPerineal patternの形態からMeloidogyne arenaria, M. in-cognita, M.incognita var. acrita, M. javanicaなどであつた.
5. ネコブセンチユウ類は, 冠水日数の長短とは関係なく広範囲に検出され, また, 植物に対する寄生度も高く, 調査した地点によつては, べールマン法でかなりの幼虫を検出できたことなどから, 台風による長期冠水が, 線虫に対してその勢力をいちじるしく減退させる程の大きな影響をおよぼしていなかつたように思われる.