関西病虫害研究会報
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4 巻
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  • 近藤 鶴彦, 山本 敏夫
    1962 年 4 巻 p. 1-5
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 伊勢湾台風 (昭和34年9月26日) による長期冠水が, 植物寄生性土壌線虫類にどのような影響をおよぼしたかについて, 三重県桑名郡長島町および同郡木曽岬村で調査を行つた.
    2. 調査を行つた畑地では最高約60日も, 周辺の水田では80日以上もの潮の冠水を記録している.
    3. 調査の結果, ネコブセンチユウ類をはじめ, Heterodera glycines, Heterodera sp., Pratylenchus spp., Helicotylenchus spp., Criconemoides spp.,Trichodorus sp. などを検出し, 2ケ月程度の冠水ではこれらの線虫が死滅しなかつたことを確認した.
    4. 確認されたネコブセンチユウの種類はPerineal patternの形態からMeloidogyne arenaria, M. in-cognita, M.incognita var. acrita, M. javanicaなどであつた.
    5. ネコブセンチユウ類は, 冠水日数の長短とは関係なく広範囲に検出され, また, 植物に対する寄生度も高く, 調査した地点によつては, べールマン法でかなりの幼虫を検出できたことなどから, 台風による長期冠水が, 線虫に対してその勢力をいちじるしく減退させる程の大きな影響をおよぼしていなかつたように思われる.
  • 福島 正三, 松野 武敏
    1962 年 4 巻 p. 6-10
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本報においてはゴミムシの消食管各部の長さと体長との比率をしらべ, 同様な手段によつてオサムシ類十数種についても, 消食管の比較検討をした.
    2. ゴミムシの消食管の全長および各部分の長さと体長との比はそれぞれ1.11 (全長), 0.45 (前腸): 0.32 (中腸) および0.34 (後腸) で, これらの比率における雌雄間差はみとめられなかつた. そして3部分の長さの関係は前腸>後腸>中腸となつている.
    3. 同様にオサムシ科では後腸>前腸>中腸, ヒメハンメヨウおよび他のゴミムシ類ではゴミムシと同じく前腸>後腸>中腸の順となつている.
    4. 一般にオサムシ類のうちでも高等と思われるものから下等なものと思われるものに向かつて消食管の長さは小となり, 各部のうちでは前腸部が長くなる傾向がある.
    5. 従来からいわれているような食植性のものの消食管が食肉性のものよりも長いという事実は今回においてもほぼ実証された.
  • 福島 正三, 梶田 泰司
    1962 年 4 巻 p. 11-20
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本実験はモンシロチヨウの発育期間中における酸素消費量, 含有水分量および脂肪量の季節的変化をしる目的で行なわれた. 供試材料は実験室で飼育した第4令幼虫および発育中期のさなぎ, ならびに室内のものと発育程度のほぼひとしい野外より採集の幼虫およびさなぎである.
    2. 1959年における調査によると, 岐阜市近郊におけるモンシロチヨウ成虫は春から夏にかけて多発するが, 盛夏にはとばない. しかし秋にはふたたび出現するが, 個体数は春におけるよりも少ない.
    3. 室内外の幼虫の酸素消費量にははつきりした季節的変化はみられないが, 夏季にいくぶん低下の傾向を示す. 一方さなぎの消費量は材料のいかんにかかわらず夏に増加し, 秋から冬にかけて減少する. しかし1月以降の消費量は多くなつている.
    4. 野外採集幼虫の含有水分率は9月にかなり低下するほかは, 一般に幼虫, さなぎとも春秋において夏より低い. このうち, キヤベッ畑より採集のさなぎの水分率は9月以降翌年の3月までゆるやかに低下する.
    5. 材料のいかんにかかわらず幼虫およびさなぎの含有脂肪率は夏季において低率を示す. そして秋にむかつて高率となるが, 幼虫の脂肪率は晩秋にふたたび低下の傾向を示す. しかし越冬さなぎのそれは秋末より漸次高くなるが, 12月以降はあまり変化せず, 2月にいたつてやや低下する.
    6. 休眠発育の進んださなぎの酸素消費量は温度にあまり影響されないが, 休眠深度の浅いものではかなり影響をうけるようである.
    7. 羽化前の高湿はさなぎの発育を遅延させるようである.
    8. 温度以外に1日当たりの明時間の長短が含有脂肪量にかなり影響するようである.
    9. 寄生バエによるモンシロチヨウの被寄生さなぎと健全さなぎの含有脂肪量にはほとんど差がみとめられない. また寄生バエさなぎとモンシロチヨウの健全さなぎとの問においても同様なことがいえる.
  • 福島 正三, 平松 栄夫
    1962 年 4 巻 p. 21-26
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本報においてはイラガとその寄生バチ, イラガイツツバセイボウの越冬期間中における含有脂肪量および水分量の変化とイラガの営けん場所にかんする二, 三の事項, およびイラガに対するイラガイツツバセイボウとイラムシヤドリバエの寄生率をとりあつかつた.
    2. イラガ越冬幼虫の含有脂肪量は11月下旬から12月上旬にかけてゆるやかに増加し, 2月頃最高に達するが, 3月上旬より減少し, よう化約15日前にいたつて急減する. また含有水分量の消長は脂肪量の増減とほぼ反対の経過をたどる.
    3. イラガイッッバセイボウ越冬幼虫の含有脂肪量は11月下旬~12月下旬に急増するが, その後はゆるやかに増加して2月中旬最高に達し, 3月下旬より減少し, よう化約15日前に急減する. また含有水分量の変化はイラガの場合とほぼ同様である.
    4. 岐阜地方におけるイラガの発が期は6月上~中旬である.
    5. イラガに対する寄生虫の寄生率には季節的に一定の傾向はみとめがたいが, イラガの加害樹種によつて寄生率にかなり差を生じ, ナシ樹での寄生率はサクラおよびハンノキ樹におけるよりも低い. またナシ樹におけるイラガイッッバセイボウの寄生率は樹の南側において高く, 垂直的には2~3mのところで多く寄生する.
  • 第1報イエバエの幼虫及蝋に対する効力
    小林 源次, 馬場 正
    1962 年 4 巻 p. 27-29
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
  • 安部 卓爾, 北村 義男
    1962 年 4 巻 p. 30-39
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    1. 本論文には, 柿炭疽病菌が外観的に健全な芽の中に潜伏し, これによつて苗木伝染をする可能性並にこれを防除する目的で行つた芽条の温湯処理に関する実験及びそれに附随する2, 3の実験結果を収録した.
    2. 柿炭疽病菌 (Gloeosporium Kaki HORI) の発育適温は26℃附近, 発育最高温度は34℃, 最低温度は10℃附近と思われる.
    3. Gloeosporium Kaki HORI菌分生胞子の発芽適温は20°~26℃, 附着器形成最適温度は28℃附近である.
    4. Gloeosporium Kaki HORI菌の柿果潜伏期聞は27℃で有傷が3日, 無傷が9日, 苹果果実では有傷が4日, 無傷では発病を認めなかつた. 密柑では有傷無傷共に感染しなかつた (供試果実はいづれも成熟果).
    5. 肉眠的に健全な休眠芽から検出された菌は, Gloeosporium Kaki HORI, Pestalotia sp., Botrytis cinerea PERS., Nigrospora sp., Alternaria sp. の5種, 皮目及び皮部から検出された菌は, Gloeosporium Kaki HORI, Alternaria sp., Pestalotia sp., Phomopsis sp. の4種であつた. この中, Gloeosporium Kaki HORI, Botrytis cinerea PERS., Pestalotia sp.,Phomopsis sp. の4菌は柿の病害を原因する菌である.
    6. Gloeosporium Kaki HORI菌培養菌糸は48℃, 5分間の浸漬で完全に死滅したが, 45℃では20分間でも尚生きている. 枝条病斑中のGloeosporium Kaki HORI菌菌糸は50℃, 15分間の浸漬で死滅したが, 培養菌菌糸に比べるとかなり強い抵抗性を示した.
    7. 芽条温湯処理の時期が余り遅くなければ50℃で15分間の浸漬を行つても, 芽の生理的機能に大した悪影響を与えるとは考えられず, 本法は苗木により持込まれる炭疽病防除上ある程度実用価値があると考えられる.
  • 第1報 室内検定法による銅剤の効力比較
    宮崎 静七
    1962 年 4 巻 p. 41-46
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    主としてナス科およびウリ科の疫病を起因するPhyophthora capsici LEON.菌に対する5種類の銅殺菌剤の効力を, 次の5つの検定法によつて比較した.
    1. 菌叢を薬液に30分および15分間浸漬することによつて菌糸伸長抑制効果を比較したが.何れの供試薬剤も15分間より30分間処理する方が効果が高く, ボルドー液, 硫酸銅, 塩基性硅酸銅, 塩基性塩化銅, 塩基性硫酸銅の順位で効果が認められた.
    2. 胞子発芽試験による発芽抑制効果については, 侵入発病に直接関与する游走子のうの間接発芽について比較した結果, 硫酸銅, 塩基性硫酸銅, 塩基性硅酸銅, 塩基性塩化銅の順位で効果が認められた.
    3. ナス果実上で薬剤散布後に菌叢を有傷接種したものと有傷接種後発病を待つて薬剤散布をしたものとの2つの方法によつて,病斑進展阻止効果と胞子形成阻害効果とを比較した.病斑進展阻止効果は何れの供試薬剤においても低く,ボルドー液, 硫酸銅, 塩基性塩化銅の順となり塩基性硅酸銅, 塩基性硫酸銅には殆んど効果が認められなかつた. 胞子形成阻害効果は塩基性塩化銅, 硫酸銅, 塩基性硫酸銅, 塩基性硅酸銅, ボルドー液の順に効果を認めた.
    4. トウガラシの葉片に游走子のう浮游液を接種し侵入阻止効果をみたが, 硫酸銅, ボルドー液, 塩基性塩化銅の順に効果が認められ, 塩基性硫酸銅と塩基性硅酸銅がやや劣つた.
    5. 以上供試した5つの銅剤の効力を総合すると硫酸銅, ボルドー液, 塩基性塩化銅, 塩基性硫酸銅と塩基性硅酸銅の順に効果が認められた.
    6. トウガラシの葉片検定法は, 処理が比較的容易で判定が比較的速やかにでき, 実験した室内検定法の綜合順位に最も併行な順位を得た.
  • 桂 〓一
    1962 年 4 巻 p. 47-49
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
    本実験は大根黒腐病の発生地土壌中のネコブセンチユウが, 黒腐病々原細菌を経口的に体内に保菌することを明かにしたものである. 黒腐病発生地の土壌から得たネコブセンチユウの虫体を, 70%アルコールで1分間表面消毒したのち,培地上に移した結果, 培地上に黒腐病菌のコロニーを生じた. 次に黒腐病発生地の土壌から得たネコブセンチユウを, 十分に殺菌水で洗って, 大根根部に接種した結果, 36%が発病し, また発生地のナスに形成した根瘤中の卵塊を同様接種した結果, 100個の接種数の中1個が黒腐病を生じた. したがってネコブセンチユウが本病菌を保菌し, 大根への運般者となることが明かになった.
  • 1962 年 4 巻 p. 50-72
    発行日: 1962/02/01
    公開日: 2012/10/29
    ジャーナル フリー
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