主としてナス科およびウリ科の疫病を起因する
Phyophthora capsici LEON.菌に対する5種類の銅殺菌剤の効力を, 次の5つの検定法によつて比較した.
1. 菌叢を薬液に30分および15分間浸漬することによつて菌糸伸長抑制効果を比較したが.何れの供試薬剤も15分間より30分間処理する方が効果が高く, ボルドー液, 硫酸銅, 塩基性硅酸銅, 塩基性塩化銅, 塩基性硫酸銅の順位で効果が認められた.
2. 胞子発芽試験による発芽抑制効果については, 侵入発病に直接関与する游走子のうの間接発芽について比較した結果, 硫酸銅, 塩基性硫酸銅, 塩基性硅酸銅, 塩基性塩化銅の順位で効果が認められた.
3. ナス果実上で薬剤散布後に菌叢を有傷接種したものと有傷接種後発病を待つて薬剤散布をしたものとの2つの方法によつて,病斑進展阻止効果と胞子形成阻害効果とを比較した.病斑進展阻止効果は何れの供試薬剤においても低く,ボルドー液, 硫酸銅, 塩基性塩化銅の順となり塩基性硅酸銅, 塩基性硫酸銅には殆んど効果が認められなかつた. 胞子形成阻害効果は塩基性塩化銅, 硫酸銅, 塩基性硫酸銅, 塩基性硅酸銅, ボルドー液の順に効果を認めた.
4. トウガラシの葉片に游走子のう浮游液を接種し侵入阻止効果をみたが, 硫酸銅, ボルドー液, 塩基性塩化銅の順に効果が認められ, 塩基性硫酸銅と塩基性硅酸銅がやや劣つた.
5. 以上供試した5つの銅剤の効力を総合すると硫酸銅, ボルドー液, 塩基性塩化銅, 塩基性硫酸銅と塩基性硅酸銅の順に効果が認められた.
6. トウガラシの葉片検定法は, 処理が比較的容易で判定が比較的速やかにでき, 実験した室内検定法の綜合順位に最も併行な順位を得た.
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