肩関節
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筋腱疾患
腱板断裂患者における上腕骨近位部骨密度の特徴
杉森 一仁
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2015 年 39 巻 3 号 p. 708-712

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抄録

 腱板修復術前にDEXA法で骨密度検査を行った52肩を対象とし,上腕骨骨密度の部位における違い,特徴を検討した.上腕骨近位全ての領域において,男女とも患側の骨密度は健側に比べ低かった.大結節と骨頭中央を除き,骨密度は年齢と有意な負の相関を認めた.断裂サイズを小断裂群と大断裂群に分けて検討したところ,男性において,大断裂群の大結節の骨密度が小断裂群に比べ有意に低かった.さらに,術前のJOAスコアと骨密度の関連について検討したところ.Function, ROMと大結節の骨密度が有意な正の相関を認めた.腰椎や股関節において加齢により骨密度が低下することはよく知られているが,肩関節においては加齢以外の原因として,男性において腱板断裂のサイズが大結節の骨密度に影響を与えることが示唆される結果であった.断裂サイズが大きい患者においては,大結節の骨脆弱性が存在することを予測し手術に臨む必要があると考える.

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© 2015 日本肩関節学会
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