2023 年 73 巻 1 号 p. 69-79
背景・目的:日本に暮らす外国人は,言葉の壁により必要な情報を得ることが難しく,様々な公的サービスを利用できていない状況がある.本研究の目的は,外国人住民の新型コロナワクチンに関する情報の認識を把握し,今後の外国人住民への情報提供のありかたについて示唆を得ることである.
対象と方法:外国人住民を対象に,新型コロナワクチンに関するどのような情報をどこから得ているのか,そしてその情報をどのように認識しているかについてインタビュー調査を実施した.加えて,外国籍キーパーソンを対象に,外国人住民の情報入手の実態および情報入手における課題やニーズについてインタビュー調査を実施した.逐語録から質的帰納的に分析した.
結 果:外国人住民は自身もワクチン接種の対象者であること,接種は無料であること,接種後に発熱などの副反応が出ることを知っていた.ワクチンに関する情報は,主に学校,SNSや身近な人から得ており,ネットの情報よりも身近な人からの情報を信頼していた.行政からの資料・情報の理解やワクチンの予約手続きに言葉の壁を感じていた.一方,若い世代が大規模接種会場で接種可能となったことはあまり知られていなかった.また,日本語で発信されている情報を知らず,行政からの情報はほとんど見ていなかった.
結 語:外国人への情報提供は,外国人住民に身近な学校や職場,身近な人,エスニックコミュニティなどに情報を届ける工夫をする,理解できる言語を用いる,そして外国人のニーズを把握しニーズに合った情報を提供することが効果的だと示唆された.そのために,平時から外国籍キーパーソンをはじめとし,行政や学校,地域住民など様々な立場の人からなるネットワークを構築して常に情報交換を行い,緊急時に情報をなるべく多くの外国人住民に迅速に届けられるようなシステムを構築しておくことが必要である.