抄録
炭素質コンドライトのマトリックスは微小な鉱物の集合体で、その詳細は電顕鉱物学の視点から解明されてきたところが大きい(e.g. Mackinonn & Buseck, 1979; Akai,1980; Tomeoka & Buseck,1985; Akai,1988; Zolensky et al.,1993; Brearly & Jones, 1998)。これらの鉱物種、結晶形態・集合状態・組織は、それら鉱物あるいは隕石自体の生成に関する重要な情報を示唆していることが考えられる。構成鉱物のなかには多くの特徴的あるいは特異な鉱物も含まれるが、生成条件等明確になっていないものも多い。これまで主にCM2, CI1隕石(CV3隕石を一部含む)について電顕観察によってとらえられてきた、ミクロ-ナノスケールの鉱物をリストとして整理し、これまで明らかになった点と、未解明の点・今後の課題等を考察する。ここで、鉱物を分類群ごとに示すと、主なマトリックス鉱物のリストは以下のようになる。・フィロシリケート(蛇紋石、7Å板状鉱物<規則/不規則構造><ポリゴナル構造>/タルク/スメクタイト/サポナイト/14Å緑泥石//熱変成フィロシリケート)・PCP・層状鉱物 (トチリナイト/トチリナイト-蛇紋石混合層鉱物<規則/不規則><管状形態>)・硫化鉱物 (トロイライト/磁硫鉄鉱/ペントランダイト/キューバ鉱)・酸化鉱物(磁鉄鉱<フランボイダル形態、球状、板状plaquatte>/コランダム/フェリハイドライト/ルチル/スピネル/ヒボナイト)・炭酸塩鉱物(カルサイト/ドロマイト/シデライト/breunnerite/アラゴナイト)・硫酸塩鉱物(ジプサム/エプソマイト/アンハイドライト )・炭素鉱物(ナノダイヤモンド-2種?/グラファイト<板状、リボン状、他>/球状炭素/同心円状炭素/不定形低結晶度集合体/“ナノカプセル状”/”固体有機物”他)・シリコンカーバイト/ シリコンナイトライド/炭化チタンシリコンカーバイト(SiC)、ダイヤモンド(C)、グラファイト(C)、コランダム(Al2O3)、炭化チタン(TiC)等は、プレソーラーグレインであると考えられているがここでは並べて示してある。いずれも太陽系進化過程に対応したもの、あるいはそこに外部から混入したものととらえることができる。これらについて鉱物種ごとの観点から、主にこれまで筆者が観察してきた例で、成因論的に推定できているものと、未解明のもの、今後の課題・残された問題等を議論する。このなかで、特に炭素鉱物の形態的多様性、構造変化、ポリタイプ、隕石タイプとの対応、また磁鉄鉱の形態上の特徴、等については、最近の成果も含め紹介する。Ref. Mackinonn IDR & Buseck PR, 1979, Nature 280,219; Akai J,1980, Mem.NIPR 17,299; Tomeoka K & Buseck PR,1985, GCA 49,2149; Akai J,1988, GCA 48, 1593 ; Zolensky ME et al.,1993,GCA57, 3123;Brearly AJ & Jones RH(1998) Rev. Mineral.36,3-1.