マーケティングジャーナル
Online ISSN : 2188-1669
Print ISSN : 0389-7265
論文
消費者はライン拡張によって導入される新製品をどのように評価しているのか
― 態度の構成要素に着目した分析 ―
赤松 直樹
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2017 年 37 巻 1 号 p. 80-100

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抄録

企業が新製品を導入する方法にはいくつかあるが,今日においては,消費者が既に知っているブランドを利用して新製品を導入するケースが非常に多い。この方法をブランド拡張と言い,本研究では,ブランド拡張によって導入される新製品を消費者がどのように評価しているのかについて議論している。そして,拡張元ブランドの既存製品に対する消費者の評価に着目し,その評価がどのように新製品の評価に影響しているのかについて調査・分析を行った。その結果,既存製品に対する評価は2つの構成要素(帰属的製品評価,関係的製品評価)によって捉えることができる点,そして,新製品の評価形成において,既存製品と新製品の適合性が相対的に低い場合には帰属的製品評価のみが影響を与え,一方で,適合性が相対的に高い場合には,既存製品を継続購買している場合は関係的製品評価のみ,継続購買していない場合は各構成要素が共に影響を与えることが示された。これらの知見を考慮することで,ブランド拡張によって新製品を導入する際のより適切なマーケティングの実現に貢献できるだろう。

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© 2017 The Author(s).
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