2022 年 65 巻 p. 11-17
固体粒子が流体に分散したコロイド分散系について正確なシミュレーションを行う場合,流体力学相互作用と呼ばれる流体の運動を介してコロイド粒子間に働く間接的な相互作用の取り扱いが重要となる。これを実現するための代表的な手法が,流体運動をNavier-Stokes方程式に基づいて数値的に解き,各時刻において得られた流体の局所応力から分散粒子間に働く相互作用を求める直接数値計算と呼ばれる方法である。実際に直接数値計算を行う場合,粒子と流体の間の運動量交換を高精度かつ高効率で実現することができる計算手法の実装が最重要課題となる。我々は,コロイド粒子と流体とのシャープな境界面を有限の厚みを持ったプロファイル関数で置き換えるSmoothed Profile(SP)法を開発し,精度と効率の両立に成功した。本稿では,SP法の持つ高い汎用性を示すために,これまでに我々の研究室で行ってきたいくつかの応用例について紹介する。