2022 年 65 巻 p. 3-10
粒子の帯電は,粉体プロセスに共通する基本的な現象である。帯電した粒子は壁に付着しやすく,粒子層が形成されると操作性や生産性が低下する。外部電場を利用すると,流体の有無にかかわらず,静電気力によって帯電粒子を自発的に運動させられるので,粒子を効果的に除去できる。また,静電技術は,搬送・分離・分級など,大気圧下での粉体操作に加えて,真空下でも利用できるので,宇宙開発などの特殊な分野への応用も期待されている。本稿では,電場を用いた粒子の誘導帯電に加えて,凝集,浮揚をはじめとする帯電粒子の挙動を解説する。応用例として,誘導帯電を基礎とする粒子の連続分散供給・混合法,および紫外線による光電効果を利用した粒子操作法を紹介する。