粉砕
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〈特集〉 産業に貢献する粉体工学の進歩
コロイド粒子の表面間力と自己組織化・構造形成
渡邉 哲宮原 稔
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 65 巻 p. 18-27

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抄録

ソフトコロイド結晶とは,荷電安定なコロイド粒子がその粒子間に働く斥力によって,ある粒子濃度以上で形成する規則配列構造である。しかし,秩序化の決定因子が不明であるため,所望の規則性を実現する戦略的合成は実現できていない。我々は,ソフトコロイド結晶の形成シミュレーションをブラウン動力学法を用いて行い,秩序構造形成条件について詳細に検討した。その結果,電気二重層を含む粒子の「有効半径」の概念を導入した上で剛体球系を参照することで,秩序化原理の統一的な解釈が可能であること,および,この原理に基づけば,粒子間のフォースカーブ(粒子間力と粒子表面間距離の関係)さえあれば,任意の塩濃度・温度・粒径に対する秩序化境界条件を,シミュレーションなしで先見的に予測できることを見出した。さらに,この概念は2次元の規則配列構造にも適用可能であり,規則構造の形成条件には系の次元を超えた普遍性が存在することを示した。

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