2022 年 65 巻 p. 80-85
外出自粛による“おうち時間”の増加や長時間のマスク着用による肌荒れなどによってスキンケアへの関心が高まっている。シワやシミなどの肌症状の「根本治療」を目的に昨今再生医療から派生したスキンケア技術が注目を浴び,化粧品原料として卵殻膜やヒト幹細胞培養液が利用される。いずれの原料成分も組成が複雑で分子サイズも大きいため,皮膚へ塗布時に角質層バリアを通過し目的部位まで有用成分が十分に浸透できないと考えられる。
著者らはPLGAナノ粒子(PLGA NP)の優れた皮膚浸透性や持続性,細胞内への送達性等の特徴を応用し,PLGA NPに封入した様々な有用成分の肌深部での効果を最適化できることを報告してきた。
本稿ではその一例として,巨大分子成分である加水分解卵殻膜を封入したPLGA NPの真皮ジワの改善に対する有用性について記す。