抄録
木質バイオマス資源で注目され,早生樹であるヤナギ(オノエヤナギ,エゾノキヌヤナギ)のおが粉が,エリンギ菌床栽培における子実体発生に及ぼす影響を評価した.袋栽培における培地基材の影響を評価した結果,ヤナギ区の収量(単位重量当り)はカンバ区比最大1.55倍となった.また,ビン栽培における培地詰込量の影響を評価した結果,ヤナギ区の収量(単位重量当り)はコーンコブ区比最大1.14倍で,コーンコブ区より少ない培地詰込量で収量が同程度となった.栽培試験に供した培地基材の成分分析の結果から,ヤナギ2樹種の構成成分の特徴は他の材料と明らかに異なり,各材料の中間的な位置にある特徴が示された.栽培試験で得られたエリンギの官能評価を行った結果,ヤナギ区のエリンギの味や食感により高い評価が得られた.以上の結果から,オノエヤナギやエゾノキヌヤナギのおが粉は,エリンギの菌床栽培に有効である.