抄録
本研究の目的は遺伝子情報に基づくマーカー選抜をシイタケの育種に適用することである.既にb-1,3-グルカナーゼをコードする遺伝子(<i>exg2</i>)に変異を持つシイタケ菌株(Mu789)が選抜されている.Mu789株の子実体は,収穫後のひだの褐変及びグルカナーゼ活性の上昇が抑制されている.Mu789と市販株HS715の交配(F1),及びF1株とHS715の戻し交配(B1)により,HS715の栽培特性とMu789由来の収穫後の特性の両方を示す株が得られた.特に2つの株(2520DAおよび5624DA)の子実体は,HS715株と比較して,収穫後のひだの褐変とグルカナーゼ活性の上昇が抑制された.さらに,菌床の褐色化や子実体の形状などの培養特性は,Mu789菌株よりも優れていることが明らかになった.本研究の結果は,マーカー選抜によりシイタケ育種を行う上での育種母本としてのMu789の有用性を示している.