抄録
これまでの関連研究では,人工雷撃に曝す実験によって子実体の発生促進効果があることが報告されており,電気刺激に拠らない要因で子実体が発生していることが示唆された.本研究では,雷撃時の音による刺激が要因であると仮説を立て,異なる音圧を印加することで栽培を行った結果,110 dBの印加が最も発生促進の効果が得られることが判明した.また,子実体発生促進に影響する雷撃の音に含まれる周波数帯を特定するために,異なる周波数帯域を抽出し印加することで栽培を行った結果,1.5 kHz - 2.5 kHzの周波数成分を含む音の印加で最大の子実体収穫数が得られることを確認した.
これらの結果より,雷音に含まれる特定の周波数成分および,音圧によるものが, 子実体発生促進の要因の一つであることが確認された.