2013 年 102 巻 4 号 p. 969-971
60歳,男性が頭痛,嘔吐,意識障害で入院となった.血液検査でTSH 99.099μIU/mlの上昇と,FT3 1.60pg/ml,FT4 0.58ng/dlの低下を認めた.また抗サイログロブリン抗体,抗TPO抗体の上昇を認めた.粘液水腫性昏睡と考え,甲状腺ホルモンの補充療法を実施したが症状の改善はみられなかった.その後血清中抗N末端αエノラーゼ抗体の上昇が認められたことより橋本脳症の合併を考え,ステロイドパルス療法を行ったところ,症状の速やかな改善を認めた.