2023 年 112 巻 6 号 p. 1020-1026
Structural Heart Interventionは心不全治療を目的とする弁修復治療として知られているが,これとは全く性質を異にする新しいカテゴリーが存在し進歩を遂げている.それは心疾患に起因する脳塞栓に対して脳塞栓の再発予防を目的とするものである.なかでも卵円孔開存(patent foramen ovale:PFO)はこれまで治療対象として考慮されなかった心内構造であるが,若年成人の脳梗塞発症に大きく関与している可能性がある.PFOの診断には十分なバルサルバ負荷を用いた経胸壁心エコーの実施が重要であり,さらに経食道心エコーで形態評価を行い,リスク評価を行う必要がある.PFOカテーテル治療では対象となる患者の診断や選択に脳卒中医の関与が重要な位置を占める.脳卒中医と循環器内科医の共同チーム(Brain Heart Team)による脳梗塞再発予防の取り組みは,今後の新しい診療体制として形成していくべきモデルとなる.